帰化
最新データ:2025 (暦年・年次更新)

帰化統計レポート ・ 1967 → 2025

帰化のいま ― 「在日」から「移民」

2025年の帰化許可者数

9,258前年比 +4.5%

1967年以降の累計 572,201

中国

3,533

前年比 +13.2%

累計 159,720

韓国・朝鮮

2,017

前年比 -11.7%

累計 356,174

その他

3,708

前年比 +7.2%

累計 56,307

日本国籍を取得する「帰化」は、総数だけ見れば近年ほぼ横ばいだ。しかしその内訳を追うと、担い手も、増えている地域も、静かに入れ替わっている。法務省と住民基本台帳の統計から3つの視点で読む。

01 / 全体のトレンド

「横ばい」に見えて、中身は動いている

帰化許可者数は2000年代前半(ピーク2003年 17,633人)を頂点に長期減少し、近年は年8,000〜9,000人台で高止まりしている。2022年(7,059人)はコロナ禍で一時的に落ち込み、2023年以降に回復して2025年は9,258人。総数だけを見れば「横ばい」に近い。だが、その内訳は大きく変わっている。

帰化許可者数の長期推移(1967→2025)

出典:法務省 民事局「帰化許可者数」

右端の帯は灰=コロナ前(2017–19)/青=コロナ期(2020–22)/紫=コロナ後(2023–25)。グラフ上をホバー(スマホはタップ)で各年の値を表示。

02 / 担い手の交代

「在日」から、二つの「移民」へ

かつて帰化の中心は、戦前からの経緯を持つ在日コリアン(特別永住者)だった。韓国・朝鮮籍の帰化は1990年代の年1万人前後をピークに一貫して減り、2025年は2,017人。代わって台頭したのが、性格の異なる二つの「移民」だ。ひとつは中国(2025年3,533人)。在留者の約6割が首都圏に集まる都市集中型で、永住者の比率が最も高く(約4割)、留学や技術職も多い定住・高スキル層。もうひとつがその他のニューカマー(2025年3,708人)で、こちらは地方の工業地帯に分散し、技能実習・特定技能など“非定住”の在留資格が中心。総数は横ばいでも、担い手は在日(縮小)/中国(都市・定住)/その他(地方・新顔)の三層に組み替わっている。

国籍別 帰化許可者数の推移

出典:法務省 民事局「国籍別 帰化許可者数」

韓国・朝鮮(ピンク)は長期減少し、その他(青)が2023年に逆転して最多に。中国(紫)は高水準を保ち、2024年に国籍別トップへ。増えた二つは、都市集中×定住の中国と、地方分散×実習中心のその他で性格が大きく異なる。

さらに細かく ― 「その他」を分解

ニューカマーの内訳も、この数年で様変わりした。かつて中心だった日系人系のブラジル・ベトナム・フィリピン・ペルーは頭打ち。代わって、ミャンマーなど新顔の東南アジアの出現に加え、ネパール・スリランカ・バングラデシュ・インド・パキスタンといった南アジアの台頭が目立つ。

「その他」の国籍別内訳(2019→2025)

※各年の上位10か国以外は「その他」に含まれ非公表のため、線が途切れる。/出典:法務省 民事局「国籍別 帰化許可者数」(令和元〜7年=2019〜2025・暦年/3PDFを統合)

03 / 増減の地理

どこで増え、どこで減ったか

まず全体像として、帰化はもともと大都市に集中している。主要9都府県(東京・大阪・神奈川・愛知・千葉・埼玉・福岡・兵庫・京都)だけで全国の約8割を占め、この比率は2013年からほぼ横ばいだ。ただし集中の“重心”は動いた。首都圏4都県(東京・神奈川・千葉・埼玉)は2013年の40%から2025年に50.6%へ上がり、ついに全国の過半に達した。逆に関西3府県(大阪・京都・兵庫)は26%から17%へ縮小している。

住基ベースで都道府県別に見ると、全国はコロナ前(2017〜19)→コロナ後(2023〜25)で−4%とわずかに減り、その内側で増減がくっきり二極化している。増えているのは、東京圏への集中(東京は新宿など都心部で大きく増加)と、北海道・福島・群馬・三重・熊本・大分・沖縄など地方で、件数は小さくても増加率が高い。逆に減っているのは二つのタイプに分かれる。ひとつは大阪・京都・兵庫・山口など、在日(特別永住者)の多い旧来の集住地――実際、特別永住者の比率が高い県ほど帰化が減っている(47都道府県で相関 −0.40)。もうひとつは青森・秋田・山形・新潟など日本海側で、在日は少ないが、増えている外国人が技能実習など“非定住”の在留資格に偏り、帰化に結びつきにくい。以下の折れ線は帰化件数の推移バブル図と地図はコロナ前(2017〜19)→コロナ後(2023〜25)の規模と増減を示す。

都道府県別 帰化数の推移(2013→2025)

出典:総務省 住民基本台帳 人口動態(外国人・消除ベース)。

都道府県 規模×増加率マップ

コロナ前(17–19)を超えたまだ届かず
円の大きさ=2025年の帰化件数

出典:総務省 住民基本台帳 人口動態(外国人・消除ベース)

バブル図の読み方・分析手法

  • 増加率は、コロナ前(2017〜2019年)コロナ後(2023〜2025年)の平均を比較しています。
  • 全47都道府県を表示。ラベルは上のラインチャートで選んだ県だけに付きます。
  • 色は、コロナ後の平均がコロナ前(2017〜19年の平均)を超えたか(紫)/まだ届かないか(白)を表しています。
  • 円の大きさは、2025年の帰化件数(規模)を表しています。

読み方 右上に位置するほど、帰化が多く(規模)・勢いよく(増加率)増えていることを示す。

都道府県別 帰化の増減率マップ(コロナ前→後)

紫=増えた県グレー=減った県(白=変化なし) (コロナ前平均 2017–19 → コロナ後平均 2023–25 の増減率)。

(%:−50/−20/0/+20/+50)

スクロールで拡大・ドラッグで移動・ダブルクリックでリセット

出典:総務省 住民基本台帳 人口動態(外国人・消除ベース)

「帰化は横ばい」の一言の裏で、担い手は在日から二つの移民へ、舞台は東京圏への集中と地方への拡散に分かれた ――静かに、しかし確実に構造が変わっている。

おまけ / 推計

帰化した人は、いま何人いる?

1967年以降に帰化したのは延べ 572,201。日本の生命表と帰化時のおおよその年齢を仮定して存命者を見積もると、およそ48万人(延べの約8割)と推計される。存命の中心は1990〜2010年代に帰化した層(在日コリアン中心の時期)で、近年のニューカマー帰化はまだ世代の蓄積が浅い。

※あくまで粗い推計。日本人の生命表と帰化時年齢の仮定に基づき、国籍離脱・海外転出は未考慮。なお帰化した人の子や孫は「日本人」として生まれるため統計に現れず、人数は把握できない。